婦人科検診にて、医師に生理を止めたら良いと勧められ、モヤモヤした話

先日、定期健診に行った。その際に婦人科検診も受けた。

問診表には気になっている症状を書く欄があったので、生理に関する症状をいくつか書いた。

 

当日、医師に診察されながら、黄体ホルモン剤を飲んで生理を止めることを勧められた。
薬で生理を止めることで、生理に纏わる諸症状がなくなるのなら、それは良いことだろう。
副作用が出る可能性もあるが、メリットとデメリットを冷静に考えて選択すれば良いだろう。


薬で生理が止められることは知っていたが、実際自分のような症状くらいで止めて良いのか分かっていなかったので、勧められたこと自体には感謝しかない。検討したいという気持ちもある。


そういう前向きな気持ちとは別に、内心私はカチンと来た。
医師は「生理なんてもういらないでしょ?」「もう止めちゃいましょう」と言った。
医師はずっと私の生理をいらないもの扱いし、生理を止めることを賢い選択だという調子で私に押し付けてきた。


確かに私は経産婦で、妊娠の希望もない。
でも、生理が必要かどうかは私が決める問題であって、医師に決められる筋合いはない。
文字にしたらそんなに酷い物言いじゃないように見えるが、しつこかったというのもあり聞いていてうんざりしてしまった。「妊娠希望でもない若くない女の生理=無駄」という考えの押し付けが酷かった。
早く内診台から降ろしてくれと思った(脚を開いて外陰部を晒しながら話を聴いていたから余計にうんざりしてしまった)


妊娠希望でもないのに生理のせいで日々不快な症状に悩まされ、生活に支障がある日もあるというのは、医師からしたら無駄でしかないのだろう。
でも、あと10年もすればには閉経だろうし、もう少し生理と付き合ってみたいという気持ちもあるのだ。四半世紀の付き合いになる生理と私との関係は簡単に無駄と切り捨てられるものではない。
そんな私の気持ちを医師が理解できそうにないし、理解する気もないだろうということが分かって腹立たしかった。

 

ちょっと違うかもしれないが、数年前に知人が「日本は遅れている。アメリカでは無痛分娩が当たり前で、出産後すぐに退院するし、すぐに職場復帰する」みたいなことを言っていたことを思い出した。
確かに、日本も無痛分娩は広がってはいるが、当たり前というほどにはまだなっていない。私も、希望する人が全員無痛分娩できるくらいに普及して欲しいとは思う。
それとは別にモヤモヤしたのは陣痛イコール無駄ととらえ、それのために職場復帰が遅れる日本人女性を遅れた人間だと思っているような知人の口ぶりだった。無痛分娩だからと言って陣痛がないわけではない、というのもあるが…「無駄な陣痛なんて止めて、出産なんかに手間を取らずにサッサと職場復帰しろ」という空気を感じたというのもある。

 

私もそうしたい人がそういう選択肢が取れる環境づくりは早急にすべきとも思う。
それとは別に、陣痛のある選択をしたって別に良いじゃないか、とも思う。
陣痛にどう向き合うかはそれぞれの親子…子は意思表示できないので母が決めれば良いだろう。


陣痛で母体や子供に見過ごせない害が及びそうなときはもちろん無痛分娩をするべきだし、逆に母親の体質などで無痛分娩ができない場合もあるだろう。しかし、そうでない場合は選べたら良いと思う。
私も無痛分娩が選べる病院で出産したが、無痛分娩を選択しなかった。理由は一つではないが、陣痛というものを経験したかったという気持ちも理由の一つだった。
わたしは自分の選択に満足しているが、理解できない人からしたら、私は「無駄な痛みに耐える野蛮な国の女」にしか見えないかもしれない。


野蛮な国といったけど、日本も無痛分娩がどんどん進めば、私のような人間は「野蛮な国の女」ですらなく、ただの「野蛮な女」でしかなくなるのかもしれない。
生理についても、妊娠希望していない人が生理を止めるのが当たり前になっていけば、グダグダ言っている私のような人間は「野蛮な女」になっていくのかもしれない。

 

それでも、私は野蛮な女のままで良い。
自分が望むときには痛みや不快な症状を抑える治療を受けたいし、身体に深刻な影響が出る場合は選択とか言ってられず医師の言う通りの治療を受けるしかないのは受け入れる。


そういうとき以外では、自分の身体のことは自分で決めたい。
この欲望が無駄で無意味な、野蛮で旧弊な人間のこだわりと思われようが、譲りたくない。


そういうことを思った。