辻元清美氏(と立憲民主党)は謙虚さと貪欲さをもっと持って欲しいと朝日新聞ポッドキャストを聴いて思った

朝日新聞ポッドキャスト ニュースの現場からの2月2日に公開された放送で立憲民主党辻元清美衆議院議員が出演された回を聴いた。

私は自民党日本維新の会よりも立憲民主党の方をどちらかというと支持しているし、投票先に選んだこともある。
だからこそ、辻元氏を応援したいという思いはありつつも、残念だと思う部分もあった。

 

 

1.批判は嫌われる。結果が総ての姿勢をもっと見せた方が良い

辻元氏が落選した昨年の選挙で、いかに自分を落とそうという企みに晒されていたことを繰り返し語り、維新の会のやり方を否定するような言葉が多かった。
しかし、そういう態度(相手のせいで自分は負けた)を取るのは、今の時代には嫌われることになると思う。もう少し、自分の負けを認めた方が、自分の実力不足を認めた方が良かったと思った。

 

今は「多様性の時代」だからこそ、数の力が絶対というところがある。誰から見ても数字というのは分かりやすく、平等に見えるから(実際に平等なのかはともかく)
批判することや相手に対してマイナスになることを言うのは今は嫌われがちで、代わりに相手よりも大きい数字を持っていることで圧倒すれば良いという考えが主流だ。
負けている側が勝っている側に文句を言うというのは印象が悪い。

 

今の時代、結果を出せないと働くこともままならない。
働いて金を稼ぐ人は、理不尽を飲み込んで必死で生き残ろうとしている人が多い。
正しい正しくないとか言っていても生き残れなければ意味がない。
そんな人が、理不尽さを訴えている辻元氏の話を聞いても言い訳のようにしか聞こえないだろう。

 

日本維新の会の議員やその他関係者の背後には、維新を支持し投票した多くの有権者がいる。
日本維新会の批判をするということは、投票したその有権者の批判とも受け取られることになる。
カジノ法案のことをビラに書かなかった」「辻元清美への誹謗中傷があった」といくら辻元氏が批判しても(絶対に誹謗中傷は良くないと私は思うが)、それでも有権者たちは、大人と呼ばれる人たちが、それぞれに判断し、自分の責任で一票一票投票したのだ。
そんな有権者たちを批判するように聞こえてしまう(辻元氏にその気がなくても)から、日本維新の会のやり方の批判はあまりしない方が良いと思う。
するときは場所(味方が多い場所)を選んだ方が良い。

2.維新は強い。強いリーダーに見えるから。「批判しても良い敵がいる」のは強い

 

辻元氏は日本維新の会が今後どこまで勢いを保てるか疑問を表していたが、私はまだまだ維新の勢いは止まらないと思っている。
それは「批判しても良い敵」を維新は持っているからだ。


今の時代、批判は基本的には嫌われるが「批判しても良い敵」というのもあり、それに対しては逆に多少攻撃が激しくても許されるし、支持される。
安倍晋三元首相もそうだったが、敵を認定し、そこへの批判を強くはっきりするというリーダーは強く支持されることがある。

安倍氏にとってそれは韓国、北朝鮮、中国、左翼、野党などだった。
維新にとってそれは「日本の古い体制、それを保持してきた政治家」だ。そこには自民党とともに野党も含まれる。

特に自民党批判よりも野党批判の方が好まれることが多い。
それは、自民党の方が色々な意味で強いからだ。
弱いくせに強い言葉で批判するような人間は嫌われる。

逆に、強い(とされる)者が弱いくせに主張している者を批判するのは多少暴言のようなものがあっても支持されることが多い。
だから、野党議員である辻元氏に対する批判については気にされないが、逆に辻元氏が何かを批判するとなると徹底的に嫌われてしまう。

余裕がなくなり、どんどん貧しくなっている国である日本において、求められているのは強いリーダーだ。
それは自分には優しく、敵には冷淡なリーダー。
全員平等に優しいリーダーよりも、敵には冷淡である方を望む人は多い。
今の時代、どんな有能なリーダーだとしても、全員平等に幸せにはできないだろう、それならば頑張っている自分や自分の仲間を気にかけながら切り捨てるべきところは切り捨ててくれるリーダーが良いと思うのだろう。



そんな人々にとって、立憲民主党のような野党が誰も取り残さないような社会を目指していても、甘っちょろいとしか思えないだろう。
みんなで沈んでいくとしか思えないだろう。
実際に全員で生き残る道はないのかという話とは別に、実際に毎日を生き残るために戦いのように生きている人間にとって、それは自分の生き方を認めてくれない意見にすら聞こえるだろう。
敵を切り捨てるという姿勢を見せてくれる方が、敵ではない自分を認めてくれているように思えるし、安心できる。

維新が敵を設定し、そこに厳しい態度で接する姿勢を見せてくれさえすれば、敵ではない人々は安心できる。
悪いことにはならないし、たとえ悪くなっても仕方がない、と思える。
そういう意味で、コロナ周りの大阪の状況がかなり悪くなっても、大阪府民の維新支持はなかなか崩れないだろうと思う。
他の選択肢を選ぶより維新の方がマシだと思われているのだ。

 

3.辻元氏も立憲民主党も頑張れ。謙虚さと貪欲さを持て

 

辻元氏、また彼女の所属する立憲民主党はこれからもしばらくは厳しい状況に置かれるだろう。
自民党からも維新の会からも敵認定されているし、「批判しても良い敵」と見なされている。
辻元氏や立憲民主党の持ち味は、批判を嫌う世間の風潮に合っていないというのもある。

それでも、地道にやっていくしかないだろう。

たとえば、菅直人元首相が橋下徹氏に対してしたヒトラー発言については良いのかどうか分からないが、その発言に対する批判に毅然とした態度で対応したのは良かったと思う。
理屈の通じないことを言う相手にNOを言うことで、理屈を重んじる人間、政党であるという印象を与えるから。

立憲民主党にも問題はあるが、それでも立憲民主党にしかない良さをなくさないようにしてほしい。
一時的には批判されたり議席を減らしたり、厳しい状況が続くだろうが、改めるべき部分は改めて、変えるべきでない部分は変えずにいてほしい。

 

辻元氏は、有権者の支持が自分よりも維新の会の議員の方が高いという事実から目を逸らさないで欲しい。自分と党の至らぬ点を振り返ってほしい。
いくら維新のやり方に問題があろうと、メディアに問題があろうと、それでも有権者が選んだのは維新だ。そこにいくら反論しても、今はマイナスにしかならない。

辻元氏が謙虚になったとしても、支持する人は辻元氏の強さを見てくれるだろうし、応援もしやすいだろう(維新の支持者に反感を持たれなくなるだろうから)

 

また、ポッドキャストで聴き手をしていた神田大介氏の言うように、選挙戦に勝つには維新がしたような戦略性も大切だと思う。
貪欲に勝とうと行動して欲しいと思う。

 

辻元氏のような政治家は必要だと思う。立憲民主党のような政党も。
だから、色々な意見に耳を傾けて、変わるべきところは変わって欲しい。